◆ 設 立 背 景
足立区の主要死因の約6 割は生活習慣病で、中でも糖尿病が「隠れ死因」と言われており、足立区国保被保険者における主傷病名が糖尿病の千人当たり件数と一人当たり費用額は、23 区で最も多くなっています。
足立区国保の医療費内訳は、第1 位が腎不全、第2 位が高血圧性疾患、第3 位が糖尿病ですが、腎不全や高血圧性疾患は、糖尿病の合併症として発症することも多く、この糖尿病関連の医療費が全体の医療費の約2 割を占めています。また、足立区の平均寿命は、国や都と比べると男女ともに短く、23 区の中でも下位のレベルとなっています。
このような深刻な状況に医療関連団体が座視していて良いのかという問題意識を踏まえ、医師会が呼びかける形で、平成18 年10 月から各団体と行政が「糖尿病対策の推進を通じて区民及び地域社会の健康度向上をめざす」という視点に基づいて協議を進め、糖尿病対策等を協働で推進する「地域横断的組織」の設立をめざしました。
平成19 年2 月、「足立区糖尿病対策推進協議会(略称ADMS)」を設立し、足立区(衛生部、区民部、福祉部)、足立区医師会、足立区歯科医師会、足立区薬剤師会、足立区柔道整復師会、足立区助産師会、東京都看護協会東部地区支部、足立区の患者会から委員を選出しました。
ADMS の当初事業目的は以下5 点でしたが、行政の予算ありきの活動ではなく、各団体の協力によって運営し、「できるだけ新しい仕組みはつくらない」、「できる限りコストをかけない」というスタンスに立ち、既に存在している資源・人材をネットワークとして紡いでいくことを重視しました。
(1). 糖尿病対策推進の包括的ネットワークの形成
(2). 足立区の地域風土に即した糖尿病対策のあり方の検討
(3). 区民の視点に立ったサービス提供体制の構築流
(4). 足立区における糖尿病対策の取り組みに関する情報発信
(5). ADMS 認定制度(生活習慣病指導員・糖尿病療養指導士・ADMS 指導医)の展開
◆ 任意団体からNPO法人へ
設立時から、任意団体の「足立区糖尿病対策推進協議会」をNPO 法人化する準備を進めてきましたが、平成20 年10 月、『「健康無関心層」を減らす!』というスローガンに基づく事業を、地域でより効果的に展開するため、「特定非営利活動法人ADMS」を発足しNPO 法人として柔軟な発想で草の根的な教育・啓発活動に取り組んでいます。
NPO 法人化することにより、行政職員が本会の活動に参加することができなくなりましたが、NPO 法人の発足と同時に「足立区糖尿病対策推進会議(糖対会)」を発足し、各団体と区との意見交換の場を確保しました。